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第七女子会彷徨 / つばな



 Twitterでとよ田みのる氏が薦めていたので即買いしたんですが、1巻の可愛らしい表紙(怪しいドライヤーはあるにせよ)からは想像のできない、ぶっ飛んだ内容に一発で虜になりました。

 読み始めに、絵柄と雰囲気から古屋兎丸、それも『ショートカッツ』っぽいなと思いながら、グーグル先生に尋ねてみると、「石黒正数に古屋兎丸をほんのりふりかけた様な雰囲気」というレビューを書いている人がいて、「なるほど」と合点がいきました。

 しかし、少しずつ読み進めていくと、そんな相対的なカテゴライズは全く意味を成さないことが分かりました。それくらい独特の魅力がこの作品にはあります。

 どうも自分は今までに読んだ漫画のデータベースを参照して、新しい漫画をカテゴライズしたくなる癖があっていけないですね。カテゴライズはやり易い方法だし、それっぽく背景をちらつかせることができるので、表面上、知ったかぶりができる。でも、いくらカテゴライズの持論を展開しても、自分がどう思ったのかは伝わらないし、作品自体の魅力も伝わらない。

 データベース消費(使い方が合っているかは分かりませんが)を脱却するためにも、少し書いてみます。

 一度読み終わった後も何度も読み返してしまって、何でこんなに惹かれるのだろうと考えてみた結果、この作品を読むことで感じる「違和感」と「胸騒ぎ」がポイントではないかと思い当りました。

 作品の世界観/設定を考えてみると、メインキャラクターは女子高生2人で、とても仲が良さそうに見える。そして、平和に見える世界で、平凡な学生生活を送っているように見える。この"見える"のがポイントで、それによって1話目はまだ「シュールなギャグ漫画かな」程度の印象しか受けません。ただ、得体の知れない違和感はひしひしと感じます。

 そして、2話目を迎える。そこで、1話目で感じた違和感が前面に出てきます。とにかくぶっ飛んでいる。ちょっとだけネタバレしてしまうと、「なんだか解らないもの」が出てきます。それを見た結果、読者としてはこの漫画の方向性が分からなくなる。単純に驚く。人によっては拒絶すると思います。でも、それは実は読者だけで、主人公たちはその「なんだか解らないもの」に驚きはするものの、世界の一部として認識している。自分たち(読者)の世界と主人公(作品) の世界は似て非なるもので、読者としては受け入れがたい程の世界観ですが、主人公たちはその世界で至って平凡に過ごしています。

 この違和感は2話目に限らず、作品全体を通じて続きます。その大小は様々ですが、とにかくぶっ飛んでます。そして、不思議とこの違和感が癖になってくる。じわじわと脳に沁み込んできて、いつのまにかぶっ飛んだ設定もスッと受け入れてしまっていることに気付く。そのことに気付いてしまった時、何とも言えない胸騒ぎがするのです。

 その胸騒ぎは、おそらく「ぶっ飛んだ世界観とその中で平凡に振舞う主人公たちが、実は自分たち(読者)とその世界を投影しているのではないか?」という疑念から生まれるのだと思います。強烈な違和感と驚愕を提示されたはずの作品世界を徐々に受け入れてしまうことが、まさに自分たち(読者)の世界の受け入れがたい出来事に"慣れてしまう"ことをそのまま投影しているのではないか。作品の世界観は、なるべくデフォルメして分かりやすい奇妙奇天烈さを求めているだけで、よくよく考えてみれば、自分たち(読者)の世界もそう変わらないのではないか。読めば読むほどその胸騒ぎは増幅していきます。

 そんな「違和感」と「胸騒ぎ」が癖になるというのはどういうことだ、と思われるかもしれませんが、自分が漫画に求めるのはまさにそういうことです。世の中、そんなにうまい話ばかりではないし、共感できることばかりでもない。そういう漫画も面白いですが、決して見たくないようなことも隠さずに描き切ってしまう漫画の方が漫画家の気概を感じます。この作品がそれを意図して描かれたと結論付けるのはさすがに無理があるとは思いますが、個人的にはこんなことを考えてしまう程、鮮烈な印象を受けました。

 この「違和感」と「胸騒ぎ」が癖になるかどうかは人それぞれだと思いますし、見方を変えると別の読み方もあると思います。実際、自分がこんな風に考え始めたのは3回目くらいで、それまでは「何だか変だけど面白い」とか「ヤバい、癖になってきた」と漠然と思っていました。これからまた読み返せば「高木さんは愛くるしいなぁ」とか思うかもしれない。

 しかしながら、こうやって色々と書きたくなる漫画に出会えたというだけで、自分にとっては価値のある作品でした。とよ田さんに便乗して、お薦めします。

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