Skip to content

骨は珊瑚、眼は真珠

骨は珊瑚、眼は真珠
骨は珊瑚、眼は真珠
posted with amazlet on 06.06.12
池澤 夏樹
文藝春秋 (1998/04)
売り上げランキング: 9,479


 ようやく読了。最近、もっぱら池澤夏樹ばかりです。
 ばかりと言っても、未だに5冊くらいしか読めていないんですが。長編はことごとく手を出していないし。長編としては「花を運ぶ妹」と「真昼のプリニウス」、「夏の朝の成層圏」あたりは読んでおきたいところ。他にも詩やら何やらがあったりなんだりで、しばらく楽しめそうです。

 この短編集「骨は珊瑚、目は真珠」も実に巧い。1話読み終わるごとにため息が出るほどに。もう、ある意味神業というか、職人芸です。短編としてのまとめ方もそうですが、文章自体の美しさがずば抜けている。美しさというのは、表現の美しさでもあり、論理の美しさでもあり、構成の美しさでもあり、その他もろもろの色々な美しさをひっくるめた意味で。とてもじゃないが、自分にはこんなに美しいものは創造し得ないし、他の人の本を読んでみても、こんな美しさはちょっと見あたらない。圧倒的。

 決して、趣向を凝らして巧みに創ってある、という感じではない。創り上げたものが、ただひたすらに美しさを誇っている。池澤夏樹という人からにじみ出てくる文章が、自然と美しさを備えている。そんな感じさえする。それだけに、著者の技巧をムリヤリに押しつけられる感じが全くしない。自然と身体に馴染んでいく。美しさが文字から浮かび上がって、そのまますんなり頭に入り込み、想像の中で広がっていく。

 別の短編集「南の島のティオ」もかなり自分の中では好きな部類だったが、ティオは一定の設定があった上での連作物だった。月並みな表現だが、この短編はティオと違って色んな池澤夏樹を楽しめる、と言える。それでも、解説にあるように、根元的な寂しさによって池澤夏樹からにじみ出た文として、規定されている。それが何とも言えない美しさに繋がっていると自分には思えるのだが。

 何はともあれ、こんな表現をしうる作家に出逢えたことが、一つの幸運だ。

トラックバック

トラックバックがありません

コメント

コメント表示形式 一覧 | スレッド

コメントがありません

コメントの追加

アスタリスクで囲んだマークテキストはボールド (*強調文字*)になり、下線は _下線_ になります。
標準的な感情表現、 :-) や ;-) といったものは画像に変換します。

ロボットからの自動的なコメントスパムを防ぐために、画像の下の入力ボックスに適切な文字列を入力してください。文字列が一致する場合のみ、コメントが送信されるでしょう。ブラウザーが Cookie をサポートし、受け入れることを確認してください。さもなければ、コメントを正確に確認することができません。
CAPTCHA